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原因と要因はどう違うのか? (2012年07月30日)

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最近、いじめに関する報道が多いことは皆さんも感じられていると思います。


その中で、「いじめの原因は○○だ」とか、「△△もいじめの要因と考えられる」といった報道を耳にします。そんなとき、原因と要因が混同されているなーとつくづく思ってしまいます


原因とは因果関係をもって結果をひきおこすことで、要因は因果関係とまではいかないがその結果を引き起こすリスクを高めるものだということができるでしょう。この「因果関係」というのがくせもので、因果関係を完璧に証明することはなかなか難しいのです。しかし、過去の事例やメカニズムとして妥当な場合、また関係性が十分強い場合は因果関係があると判断していると思います。過去に遺書などで確認されるいじめで自殺した事例があれば、やはりそれが原因で起こると考えるのが自然です。

 

さらに別の話で説明してみます。ウイルスに感染すれば風邪をひきます。これはウイルスが原因で風邪が結果です。この因果関係は疑いようがないでしょう。でも、ストレスをかかえていて体が弱っていたとします。そうするとストレスは風邪の原因でしょうか。風邪をひきやすくする、つまり風邪という結果を引き起こすリスクを高めた、ということでこれは風邪の要因だった、ということができます。

 

しかし、現実の問題、例えばメンタルヘルスの問題において、感染症モデルのように因果関係がはっきりしているものはほとんどないといっていいでしょう。なんとなく不安、落ち込む、そんな気持ちになる「原因」を特定することは難しいし、逆にあまりにもさまざまなファクターが「要因」として、ある程度は関わっているはずです。それを理解すれば、大事なことは「どの要因がよりその結果を引き起こしやすいか」という関係性の強さについての議論をすべきだとわかります。

 

さらに、リスクの考え方についても、整理が必要だと感じています。あるリスクを回避すれば別のリスクが生まれます。例えば公立の小学校ではいじめのリスクが高い、といって私立に入れようとすれば、受験勉強という別のストレスにさらされます。学費の問題もあります。放射線被曝のリスクを回避しようと水道水を飲まない行動をとれば、手軽に水を飲めない不便さ、またコストというリスクに直面します。

 

学校、家庭、職場、ご近所、ニュース、景気、あまりにもいろんな環境の中で過ごしている私たち。その中で、どんな環境を選び、また捨てるのか。画一的にならずに、いろんな角度から子どもにとっていいこと、悪いことが起こる確率を考えてあげて、子どもにとっていい環境を整えてあげたいものです。


医学博士 藤原武男

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