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コラム

福島原発事故 東京から避難すべき? (2011年03月18日)

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まず、東北関東大震災におきまして、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。また、残念ながらお亡くなりになられた方に衷心よりお悔やみ申し上げます。私も現在かかわっている研究で何度か仙台、福島に行かせていただき、知人の研究者およびご家族、スタッフの多くが被災され、一日も早い復興を祈る日々です。

 

一方、福島での原発事故により、放射線被ばくの不安がじわじわと東京を中心とする首都圏の人々の間で高まっているのを実感します。パニック前夜、とでもいうような不気味な雰囲気です。その多くの不安は、大人はいいとして子どもや妊婦でも大丈夫なのか? 本当にエビデンス(証拠)に基づいて政府は発表しているのか? というものだと思います。正直、私も不安でした。

その点について、昨日(3月17日)、成育医療研究センターの放射線診療部の正木英一部長のセミナーがあり、参加してきました。そして私の不安は解消されました。結論から言えば、現状の放射線量であれば、東京から避難する必要はまったくない、ということです。

 

最も説得力があったと思われる点を2点、ご説明します。

1点目は、「たとえ微量な放射線被ばくであっても、毎日浴びていればこどもの体によくないのではないか?」という疑問に対する答えとして、「こどもの病院ではNICU(新生児の集中治療室)では毎日X線で胸のレントゲンなど撮っている。それでもその後ガンが発生したという報告はきいたことがない」というものでした。ましてや、現状の東京で観測されている放射線量はX線以下です。これは説得力があると思いました。

 

2点目は、他の地域で日常的に放射線量が年間で10ミリシーベルト(10000マイクロシーベルト)、1時間あたりにしても屋外で100マイクロシーベル程度の地域があり(ブラジルやイラン)、それでもその地域においてがんの発生率が高いというような報告はない、というものでした(参照:http://www.taishitsu.or.jp/genshiryoku/gen-1/1-ko-shizen-2.html)。東京では3月16日時点で最大0.16マイクロシーベルとですから、まったく問題ない値といえます。普段の20倍とか100倍といった値でものすごく跳ね上がっているように感じますが、もともとが微量なので、微量が100倍になっても微量のまま、ということなのです。実際に実態に影響がでるのは100ミリシーベルト(10万マイクロシーベルト)以上ですから、もう完全に影響はないわけです。

 

たとえば、10万円の買い物をしたかったとしましょう。毎日の収入は1円とします。それが昨日から急に景気が良くなって、100倍の収入があって今日は100円手に入った。だからといってすぐに10万円のものが買えるようになると考えるでしょうか。実際の値と何倍になったか、というのは注意深く読みとらないといけないわけです。

もちろんこれは福島の原発が3月18日の時点の状況での分析です。今後の爆発によってはどうなるかわからない、だから避難すべきではないか、と考える方がいるかもしれません。しかし、福島と東京は250kmも離れています。仮に福島原発周辺で放射能漏れにより1000ミリシーベルトを観測したとしても、単純に考えて距離の二乗に反比例するので1000/(250×250)=0.016ミリシーベルト、16マイクロシーベルトであり、これでもブラジルやイランより相当低いわけです。

 

そして、あまり報道されていませんが、現在福島原発から殺傷能力のある中性子線の漏れは確認されておらず、すぐに死ぬことはない、ということです。その点も知っておくと、パニックにならないですむように思います。

 

もちろんまだまだ注意深く状況を見守る必要はありますが、避難する必要は全くありません。

 

また、お子さんに海藻や昆布を大量に与えたり、うがい薬を飲ませたりすることは絶対にやめてください。甲状腺機能が低下して、元気がなくなってしまいます。ヨードは放射線に被曝してすぐに取り入れる時のみ効果があり、予防的に接種していても意味がありません。体外に排泄されてしまうからです。

 

最後になりますが、重ねて今回の大震災で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。冬は必ず春となります。むしろ春となるよう、東京の私たちも冷静に過ごし少しでも燃料や物資が被災地に行くようにしないといけないのかもしれません。皆さまのご健康と、1日も早い復興を、心よりお祈り申し上げます。

 

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コメント一覧

生後5ヶ月の子供がいて、地震のパニックで手洗いやうがいがおろそかになっていたのか、自分がインフルエンザにかかってしまいました。
窓を開けて換気をしないと、子供にウイルスが・・・と、窓を全開にしたのですが、今度は放射能が心配で、充分には換気されていないだろう短時間で窓を閉めてみたり、まさに右往左往する始末でした。
テレビで大丈夫と言われても、本当は?と、疑いたくなってしまうものですね。
とても分かりやすいコラムで、やっと安心しました。ありがとうございます!

石井 淳子|2011年03月18日

外出してもマスクをしている人が多いように見えてしまいます。
私は花粉症でマスクをしていたのに気がつけば放射能汚染予防の為と気づいた次第です。

TVでは外国人の日本退去をする姿を目にしてしまい。~なぜか心配がつのるばかりです。

現政権に対する不信と合い間って、~なおさらの感は否めない・・・

このような不安と不信の日常の中、コラムを読み安心いました。
私の様な者にも分かり易い事例があり納得しました。
有難うございます。

今回の大震災で被災された方々に心よりお見舞い申し上げるとともに
お亡くなりになられた皆様の追善回向を祈らせて頂きます。


和泉澤とも子|2011年03月18日

もちろん、現段階では問題ないのはわかっていますが、
復旧が難航したら、核融合とかおきるのではないですか?
親戚が長崎にいますので、母1人、子ども1人の二人で明日
羽田から出発しようと、ほぼきめています。兄弟や親を東京にのこすのが、
後ろ髪ひかれますが、主人が海外にいるのと、こどもが1さいで、幼稚園もなく、
私も仕事をしていませんので。身勝手といわれるの覚悟で我が子をまもりたい
 毎日テレビをみていると、身が縮まるおもいです。

たま|2011年03月18日

東京在住者で避難を考えている人がいるのですか?
明らかに報道の弊害です。
扇情的に不安感を煽る報道のあり方には目に余るものがあります。

ご安心を。
私の周りにはマスコミの過剰加熱報道に踊らされている人はいません。

大安心とは言いませんが溢れんばかりの情報をしっかりと見極め、
先ずは何を為すべきかを友人たちと模索中です。
政府を含め公的な方たちのミスや不手際をあげつらう前に
官民一体となって乗り切らねば光は見えませんもの。
被災地の方たちが既に茫然自失から立ち直って
救済活動を始めていらっしゃいますよね。
その前向きな姿に
  『こちらが励まされてどうする』
  と自分を叱咤しているところです。
年代のせいもあるのでしょうか。
人間のやることに絶対はないと常に思っているので
大未曽有のどんな災害にも
完璧に対応できる策があるなんて思ってもいません。
ましてや研究者の方たちが『今はまだ大丈夫』と
データに基づき異口同音に仰有っているのでそれを信じていますよ。

武男さんが説得力のあるコラムで広く事実を発信して下さるのは
とてもありがたいことです。
僭越ですが私からもお礼を言わせて下さい。
   ありがとうございました。

   
   *尚、状況は刻々と変わっています。
    今後新たな事実等分かりましたら発信下さい。
    例えそれが安心でも、不安でも。
      

あしざわじゅんこ|2011年03月19日

お子さんへの健康被害の可能性を限りなくゼロに近づけたい、
ということであれば東京からの避難は妥当な選択である
と思います。
また、「放射線の影響があるかもしれない」と危惧することで
情緒が不安定になったり落ち着かない、ということなのであれば
避難すればその気苦労からは解放されるわけで、それは自分と家族
を守るためにはあり得る方法だと思います。
あと、当たり前ですけどどこに行こうが個人の自由だし、
東京から離れることで後ろめたさを感じたり、他人が非難
する権利はまったく無いです。

避難にかけられるコスト(時間・手間・お金・気苦労)は
人によって違うし、リスクの評価も人によって違います。
家族のためにいくら生命保険をかけられるか、という判断と
似ていると思います。

ちなみに私は東京在住、3歳の娘がいます。妻子だけでも関西に
「疎開」させるという選択は検討しましたが、今のところは
妥当ではないと判断し、現時点では東京に残るという判断を
しました。

鄭平文(東京)|2011年03月20日

とても参考になりました。的確な時期に情報をありがとうございました。
子供の体が一番心配だったので、ありがとうございました。

m.hayakawa|2011年03月21日

参考になりました。少し安心しました。
でも中性子線は漏れてますよね・・・
「中性子線検出、12~14日に13回」という記事がありました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110323-OYT1T00534.htm

ろんた|2011年03月25日

すいませんが、内部被曝の確率的影響とその危険性について、誰も何ら明確な答えが無いのが未だに気にかかります。
成育医療研究センターの放射線診療部の正木英一部長は、セミナーでその事に触れてましたでしょうか?それでよく「大丈夫だ」などとうそぶけますね!全く信じがたいです。
これは放射線を取り扱う医師や科学者の怠慢だと思います。もしくは陰謀でしょうか?
いまや一般の人々の大半が、もう医師や科学者の言う事が信じられなくなっています。
これについてどうお考えでしょうか?

通りすがり|2011年05月18日

この件に関して6/25の小出裕章先生の八戸の公演で避難すべきだと話されていました。以下の動画の22分からを御覧下さい。
http://www.ustream.tv/recorded/15606233

レモン|2011年06月27日

私は現在、栃木にいます。このコラムを読んで、外部被爆については今のところ大きな心配はないと感じました。しかし、福島第一原発の状況の速やかな事態の収束が望まれます。
今後の心配は、食品などに付着したセシウム等の内部被爆はどの程度影響が出るのでしょうか?シーベルトやベクレルといった値においては、国の基準を満たしたものですが、癌になるリスクは極めて低いと考えていいのでしょうか?

杉山 佳代子|2011年07月22日