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子どもを守る社会、子育てを応援する社会 (2009年11月29日)

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先日、日本子ども虐待防止学会に行ってきました。子ども虐待防止法制定から10周年ということで、これまでの総括とこれからの展望、というところに力点がおかれていました。

その中で、小林会長が「日本の社会は子どもを守る社会になっていない。また、子育てを応援する社会になっていない。これを変えていかないといけない。」といった趣旨のことをおっしゃっていました。全く同感です。虐待対策といっても、現実の社会のなかで子どもを育て行く親御さん方がどれほど喜びをもって子育てをできるかにつきると思うからです。結局は社会のなかで「子どもを育てる」つまり「未来を育てる」ということへの価値や重要性を認めていかなければ、子育ては「作業」であり「重荷」でしかなく、ストレスがたまって当然です。逆にいえば、社会が子育てに大きな価値を認め、子育てをしている方々に尊敬と称賛と感謝を惜しまなければ、どれほど養育者はやりがいがあると感ることでしょうか。そんな社会では、虐待もナリを潜めそうです。

日本が子どもを守らない、また子育てを応援しない、というのは、カナダで(短い期間ながら)出産・育児を経験した私たち家族としてはつとに実感するところです。まず、育児休暇。カナダでは男性も当然のようにとりますが、その期間も生後3カ月までとれる場合があります。しかも有給です。給料の8割程度はキープされていたと記憶しています。日本では、育児休暇はおろか、有給ですらない、と聞いて愕然としました。これでは育児休暇などとれなくて(とらなくて)当然です。私はなにも育児休暇をとれば全てが変わる、的なことをいいたいわけではありません。育児休暇一つとってみても、日本という社会が、いかに出産と育児を重くみていないか、ということが見て取れるということをいいたいのです。

また、電車やバス。ベビーカーで乗れば、カナダでは当然のように優先席に座っていた人も席をたち、席を勧めてくれますが、日本ではそんな経験はほとんどありません。優先席にいっても、そこに座っている方々は、寝ているか、寝たふりをしているか、メールをしているか。きっと気付かなかったんだろう、と自分を励ましてみますが、明らかに足を組みかえたりして起きている様子です。もっと言えば、「なんで電車にベビーカーを持ち込むんだよ」的な視線すら感じます。これでは、育児が大変と感じるのも無理からぬ事です。

ついでにエレベーターですが、ベビーカーが数台待っている状況で、足も丈夫な方がエレベーターを当然のように利用することがあります。それにより、ベビーカーをお持ちの方が乗れなかったりしています。きっと階段やエスカレーターより改札に近いとか理由はあるのでしょうが、そんな光景をみるとのどの奥に鉛が詰まったような重い気持ちになります。

どうやら日本が子どもを守る社会、子育てを支援する社会になるには大分時間がかかりそうです。それでも、少なくとも、日本は現状、子どもを守ることや子育てを支援することに関しては遅れているので、ということをアピールし、しっかりと現状認識していくということは大切なのだと思います。そしてどうするか?政策的には様々な議論があると思いますが、結局は「子どもを守る、育てる」文化を年月がかかっても育んでいく以外に根本的な解決はないと思っています。


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